透析用洗浄剤に関して...

従来は、次亜塩素酸ナトリウムは除菌・洗浄を目的に、酢酸は炭酸カルシウムスケールの除去を目的に2種類の薬剤を使用するパターンが主流でありました。
昨今のハイパフォーマンスメンブレン(HPM)の使用など透析環境の変化に伴い、次亜塩素酸ナトリウムと酢酸の組み合わせでは透析装置ライン内に蛋白質や糖、脂質などの有機物の汚れが堆積する現象が起きると多数報告されております。
洗浄不足によりライン内に汚れが付着した状態を放置しておくと、汚れを栄養とし細菌が増殖し、その結果ET値、生菌数が上昇します。

透析装置用除菌洗浄剤の必要要件としては
   1. 有効な除菌効果 (除菌力)
   2. 有機物・細菌などのバイオフィルム除去効果 (洗浄力)
   3. 炭酸塩の溶解作用・沈着抑制効果 (炭酸塩除去力)
   4. 装置部材に対し腐食・劣化などのダメージが少ない
   5. 化学的安定性
   6. 人体に対し無害
   7. 易水洗性
   8. 発泡しない
   9. 排水の際、環境汚染を起こさない  
などが求められます。

透析装置専用洗浄剤のうち次亜系の使用により期待できるメリット
   1. 強力な除タンパク・脂質・バイオフィルムの分解・除去効果
   2. シリコンホース、金属部材などの装置部材のダメージを軽減できます
   3. 炭酸塩の生成が抑制できますので酸洗浄時の薬剤濃度や洗浄頻度が低減可能です
   4. 界面活性剤を含まず低発泡性で水洗性に優れます

透析装置専用洗浄剤のうち酢酸系使用により期待できるメリット
   1. 酢酸に代替可能な炭酸塩の除去力を有します
   2. ほぼ無臭で使用時に不快臭がしない
   3. 金属部材、高分子材料などの装置部材のダメージが軽減されます
   4. 酢酸に比べ環境負荷が低減されます

透析装置専用洗浄剤のうち過酢酸系使用により期待できるメリット・デメリット
  メリット
   1. 確実な除菌力
   2. 除菌・洗浄と同時に炭酸塩除去が可能
   3. 使用用途が広く、汎用性が高い
   4. 錆の発生が少ない  ・・・など
  デメリット
   1. 洗浄効果が不十分 (塩素系の併用が一般的)
   2. フッ素ゴムなどに対する部材劣化性が高い
   3. 低希釈につき塩素系商品と異なりコスト高

上記の要素を加味し、それぞれの施設に最適な洗浄剤、使用方法をご提案致します。

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